本書は全国書店員が選んだ“いちばん売りたい本”として2010年本屋大賞に選ばれた時代小説である。
合戦もチャンバラ劇もない。あるのは「日本独自の暦」をつくることに情熱を傾けた碁打ちにして数学者の物語である。
日本には昔、和算と呼ばれる日本独自の数学が発達し、それは関算学と呼ばれたということを何かで読んだ記憶がある。その「関孝和」を陰の主役として物語は展開していく。
難解な数学の話をこれ程までにおもしろい小説に仕上げていく「沖方 丁(うぶかた とう)」という作家に対しても限りなく興味がわく一編である。
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