テレビ番組で「ボケ防止には官能小説が良い」と精神科の先生が力説していた。文面から具体的に卑猥な事柄を想像する事によって、脳が柔軟化し、活発に働くというのである。エロ本の類は何度も見た事はあるが、官能小説という物は読んだことがなかった。
 早速、郊外の大型書店へ行ってみると、あるは、あるは、「官能小説コーナー」まである。この書店には何度も来ているが、気が付かなかった。手に取ると、“まぁ、驚き”。濃艶な絵表紙に刺激的かつ挑発的な帯紙。その場での立読みは我を阻むものがあった。
 その場所を少し離れ、手で表紙を覆いながら読むと気恥ずかしいやら面白いやらで読みふけってしまった。何冊か流し読みすると、どれにしようか惑ってしまう。右往左往して決めたものの、これをレジの女の子の所へ持っていかなければならない。これがまた一つの大きな壁。表紙・帯紙・題名からしてその手の本と一目瞭然。自分 の娘ぐらいの「お嬢さん」に差し出すのが恥ずかしい。
 結局、表紙が地味で題名が平凡そうな物を選んで、そして少し年長の店員の元へ持っていく。もちろん他のお客がいない時を見計らって!
 「ブックカバーをお付けしますか?」「お願いします」と即答。やれやれ一冊買うにもこの為体(ていたらく)。小心者の頑固オヤジであります。
 書店を変えながら何冊か買って読んでいるうちに、色々な事が分かった。作家のペンネームが独特で、中には女性か男性か解らない事がある。また、出版社の記者か編集者出身の作家が多いこと、現代ものと時代もの(ほとんどが江戸時代の商家社会。武家社会もの)がある事。時代ものは江戸風情の描写が実に上手でお
すすめです。官能小説の一番の特徴は、普段使用しない漢字が多いことです。他にも色々ありますがここでは書き尽くせません。なかなか官能小説と言っても奥深い物があり、填まってしまいました。
 ボケ防止どころか色ボケオヤジになりそうです。いや、なりました。